プロフィール

ゼネコンに就職し、現場監督として、働き始めることになりました。

これが想像を絶するほど過酷な激務でした！

現場監督２年目にあるプロジェクト現場のメンバーに抜擢されました。

このプロフェクトが現場監督経験１２年の中で、一番過酷だった時期です。

そのときの１週間の勤怠状況はこんな感じでした。

残業は、１週間だけで50時間です。１ヶ月で200時間です。

仮に週休２日で毎日定時帰りであれば、１日８時間×週５日＝200時間

つまり、２人分働いていることになります。

しかも肉体的にも精神的にも激務というオプション付きです。

水曜が唯一の休みでしたが、前日の火曜は完全に徹夜し朝帰りです。

帰宅して寝て起きたら、もう夜になっています。

遊ぶ予定も何も入れません。とにかく寝たい。体を休めたい。ただそれだけです。

完全に働くだけのロボットと化していました。

いかに仕事を早く終わらして、その日の睡眠時間を確保するか。

それだけが常に頭の中にありました。

いくら若かったとはいえ、今改めて思い返しても、よくやっていたと思います。

慢性的に寝不足だったため、車通勤の運転中では信号待ちでよく寝落ちしてました。

信号が青になったら後続車にクラクションを鳴らされて車を発進させる。

こんな生活でも仕事を続けられたのは、現場のチームメンバーが一丸となり同じように頑張っていたからだと思います。

自分だけが頑張っているわけではなく、他の先輩も同じように頑張っていたからこそ辞めたいとは思いませんでした。

もちろん辛いだけではなく、楽しい瞬間や達成感を味わえる瞬間はありましたが、割合でいえば、辛い：楽しい＝99：1で本当に大変でした。

こんな状況が半年ほど続きました。

チームで頑張ったかいがあり、順調に現場は進んでいました。

そんなときに、会社から私に県外出張の辞令を言い渡されました。

私は、驚きました。

今の現場は完了まであと半年は続くのに、このタイミングで出張して大丈夫なのだろうかと。

そのことを会社に言いましたが、「これは決定事項」「代わりは用意するから大丈夫」「君にとってはチャンス」などと説得され、これもサラリーマンの使命だと思い、受け入れることに決めました。

辞令から２週間後には県外に引っ越しを完了して、新しい現場で働かなくてはなりません。

私は、慌てて引継ぎ資料を作り、なんとか引っ越し当日の早朝まで徹夜して作り終えることができました。

眠気と疲労感で一杯でしたが、新天地での不安と期待を抱えて引っ越し先へ向かいました。

新しい現場は、これまでと違い大規模なものでした。

以前の工事金額の２０倍もあり、チームメンバーも多ければ、仕事内容もより複雑なものでした。

多くの知識や経験が要求されるため、他ゼネコンとタッグを組んで現場を運営するというJV（共同企業体）という形で業務をすることになりました。

この現場での出会いが、私の経験やスキルをレベルアップするためのとても大きな財産となりました。

自社の先輩と上司、他社のベテラン社員（60代）の３名がとても素敵な人達で、仕事も熱心だけど、プライベートもちゃんと充実させていて、仕事外でも飲みやゴルフに連れていってくれ、可愛がってくれました。

どんなに遅くとも２１時には退勤し、しっかりと睡眠を取り、休みの日にはしっかり遊びました。

仕事に関しては、基本的なことから、経験から培ったコツなど色んなことを教えてもらいました。

以前の現場では、忙し過ぎて先輩から仕事を教えてもらう時間すらなく、ただただ一生懸命、見よう見まねで自己流でやっていました。

基本的なことを理解することで本質的な理解へとつながり、仕事にやりがいを持って打ち込むことができるようになりました。

以前の現場ではロボットのように思考停止で、がむしゃらに働いていたので、この変化がとても嬉しかったです。

この出張期間は当初３ヶ月と言われていましたが、新たな受注の連続により３年間の月日が流れました。

３年間の充実した出張期間を終え、再び地元へ戻ることになりました。

新たな現場は、再び過酷な職場環境でした。

今回の現場では、上司が鬼のように厳しい人でした。

チームメンバーは私と鬼上司の二人だけです。

上司はかなり仕事ができる人で、社内での評価も高い。

人望もそれなりにあったので、今後出世していく人だろうと思いました。

完璧主義で生産性が高く、部下にも自分と同じレベルを求める人でした。

毎日のように怒られました。

現場で、事務所で、電話で、移動中の車内で、食事中にも・・・

私は、その上司に必死にくらいつきました。

いつか認められ、難しい仕事も任せられるようにと理不尽な説教にも耐え忍びました。

あまりにも理不尽な教えに悔し涙が何度となく流れました。

１年、２年と月日が経つにつれ、怒られることも段々と減っていき、私自身も自分の成長を感じることができるようになってきました。

３年経ったある日、社内の開示評価制度で私は、その上司からの評価を知ることになります。

評価は、とても悪いものでした。

私としても、納得できる評価ではなく、あんなに頑張ってきたのに何でこんなに評価が低いんだ！と呆然としました。

数日後、評価委員会の推進者と面談の場が設けられました。

推進者からは、「頑張りが足りない」「もっと認められるように頑張れ」というお叱りの言葉を受けました。

私は、納得いかず不当な評価だと抗議しましたが、理解してもらえませんでした。

私は、完全にやる気を失ってしまいました。

そのとき、私はこう思いました。

「私は、出来る限りの頑張りをしてきた。これで評価されないなら、私のやり方が間違っていたんだろう」

「この職場では、この先とてもやっていけない」と。

私は、部署の異動を決意しました。

このままでは、自分自身が壊れてしまうのではないか、と思ったからです。

現場監督という仕事はとてつもなく激務です。

現場での安全管理、工程管理、品質管理、予算管理に加え、デスクワークでは安全書類や作業計画書の作成、施工図の作成、雑書類の作成、見積書の作成など多岐にわたります。

さらに、客先対応、下請け業者との対応、定例会議など常に並行して、仕事をこなしていかなければなりません。

毎日５０件以上の電話対応。

現場作業員と上司との板挟みの日々。

日によっては、昼食を取れないこともしばしばあります。

翌日のスケジュールが分刻みに詰まっているときは、そのプレッシャーから眠れないこともあるほどです。

私は、このような激務をやり抜くために必要なことは、２つあると思っています。

１つは、人間関係が良好であること。

互いに頑張れる仲間がいる、尊敬できる上司がいるなど、人間関係が整っていないと人は頑張れないものです。

もう１つは、仕事にやりがいを持てること。

どんなに過酷な環境でも、仕事にやりがいを持って、やり遂げる覚悟があれば何とかなります。

これまでの現場経験から身をもって体感したことです。

私は、現場監督ではない、社内の別の事業部を希望し、その半年後、無事異動届が受理されることになりました。

新しい部署は、製造部門で建築部材を造っていて、私は製造管理を担当することになりました。

ここでは、現場管理とは違い完全週休２日で、残業も月４５時間は絶対超えないほどのクリーンな労働環境です。

現場監督時代には、想像もできないほど働きやすく、みんな人柄の良い人達ばかりで充実した日々を送っています。

仕事内容もやりがいがあり、今では、私の仕事ぶりと現場経験が評価されたこともあり、プロジェクトリーダーを任されるようになりました。

今になって思うと、あの時勇気を出して部署異動を希望して本当に良かったと思っています。